デザインのエッセンスのページでは、毎回マメデザインの仕事のなかのひとつをピックアップして、そのディテールを詳しく解説していきます。第1回目はマメデザインの事務所兼自宅としてつかわれているROOM#401です。
ROOM#401は老朽化のすすんだ築30年をこえる鉄筋コンクリート造のマンションの一室を改装したものです。6階建ての4階の角部屋で、間取りは一般的な呼び方では1LDKです。工期は1ヶ月で費用は設備などすべて新しくしたのも含め約200万円です。
上が改装前の平面図。もともとは洋室も2部屋だったようで、平面が小さな部屋に細かく分割されているのが分かります。ふつうは家具を置くので、実際にはこれよりももっと狭く感じます。
これが改装後の平面図。間仕切壁や床・天井はほとんど撤去し、収納も天井までいっぱいにとらず高さを抑えることにより、大きな箱のような空間をつくりあげています。あまり広くない空間ではその構成要素を減らすことによって窮屈さを軽減することができます。この改装では土間の面積を広くとり、水まわりはすべて下足で移動するのが特徴的です。
玄関からつづくモルタル塗りの土間と、一段高くなった板張りの床。土間はモルタルを金ゴテで押さえたあと、コンクリートの表面強化材を流しています。
板張りの床の素材は構造用合板。もともと下地としてつかわれる材料なので表面はざらざらしていますが、この木目と荒々しいテクスチャが私の好みです。
現在では猫が走り回るので傷だらけです。
壁と天井の取り合い部分。特にディテールといった高級なものはなく、ただ素材を塗り分けています。壁は白のペンキとしごき材を自分たちで塗りました。天井はすべて撤去してコンクリートのスラブむき出しです。
天井を撤去したので、配線はすべて床下を這わせるか、天井を鋼管で露出配管です。照明は配線ダクトを用意して、スポットライトやペンダント照明などにフレキシブルに対応できるように計画しています。
トイレのドアはノブやハンドル・引き手はなく、丸い穴が1ヶ所あるのみです。ここに人差し指を引っかけて開閉します。またここから中の光が洩れるので、トイレの使用中であることがわかるという仕組みです。
これは頑固な建具屋さんにコンセプトを理解してもらえず、工場に出向いて説明してやっとつくってもらうことができました。
私はカーテンレールというものが苦手で、いろいろ探した挙げ句、このステンレスのワイヤーを張ることにしました。これはもともと手すりなどにつかわれる建築用材料です。
カーテンは布を買ってきて自分でハトメで穴を空けて通すだけです。また、最近はアジア雑貨の店で買ってきた綺麗な布をクリップで留めています。
竣工後一年を過ぎてから案の定増えすぎた蔵書の整理に行き詰まり、造り付けの本棚をつくりました。これは知り合いの工務店のご厚意で、無料で製作していただきました。